神経の強さの話

解剖時に神経として現れるコード状のもの(白いにゅるっとした感じのもの)、なんとなく目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。あれ自体が神経かと思いがちなのですが、実は、

65%は神経を包んでる筋膜、35%が神経そのもの

とのことです(by Tom)

だから、解剖した時とかに、神経を引っ張ったりしても結構強いんですよね。糸のようによっぽど細い箇所はともかく、メスを使ったりしないと簡単には切れない。それは見た目全部神経と思いがちな外観の65%が神経ではなく筋膜だからなのです♡

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筋膜の3つの層

【筋膜の3つの層】(Facebookグループ 2021/7/1)

しゅわしゅわ動画のギル先生が、エンボディメント(体現)カンファレンスで昨年レクチャーした動画より。(素晴らしくよかった!!)

【1つ目】表層(superficial layer): 皮膚、脂肪

・保護

・表現

・滋養

・感覚に喜びを与える

・リソース

身体を上下にゆするとブルブルゆれるところ

【2つ目】perifascia(ペリファシャ、peri: 周りの、fasciaの周りのものの意味)

: しゅわしゅわ部分

・これがないと表層と深層がスライドしない

・流動性を与える

・ここ数年話題のinterstitium(間隙)とほぼ同じ扱いでいいと思うけれど、ギルは、「細胞レベルでは間隙だね」という言い方をしてた

→皮膚を掴んで皮膚の方向で動かすとスライドする動き(shear /剪断。2枚の薄いガラスを水で挟んだ時に起こるような動き。顕微鏡で使うみたいな)ギルのしゅわしゅわ動画の中のダンスや、ゆるゆるした動き

【3つ目】深層筋膜(deep fascia): 一般的に筋膜と捉えられるところ

・密で規則的な結合組織(dense regular fibrous connective tissue)

・深層筋膜はペリファシャに埋まっている

(スパゲティーをトレイに並べて、その上にジェルを流す、それから今度はスパゲティーを最初のスパゲティーと直角になるように並べて、またジェルを流す。数時間後、ジェルは少なくなってるけど、スパゲティーに吸収されてる。深層筋膜とペリファシャの関係はそんな感じで、完全にミルフィーユのようになってるわけではない。けど、表層と深層の間にペリファシャがないと、動きは生まれない)

→安定して、ぐらつかない動きを生み出せる場所。いわゆるコアの動きができる部分

〈おまけ1〉

「トリガーポイントは何なんだ」という質問に、

「トリガーポイントは、生きているエネルギーシステムの機能(function of living energy system)だから、解剖で見ることはできない」

という答え。

(今まで聞いた答えの中で一番スマートな気がしました♡)

〈おまけ2〉

身体は音叉と同じ。まず自分の身体。そこから共鳴する。今回の3層の話をしたのもそれが理由。まずは自分で感じてみよう。

〈おまけ3〉

怪我は小さい子供に対するように扱う。子供が頭をぶつけた時、優しく触れたり、身体を抱きしめるよね。大人も同じ。怪我をしたところをグリグリもしたくないし、怖くて触れないということもしたくない。

腸脛靭帯、骨間膜、支帯などなど、全ての構造に共通していること

2020.9にアシスタントとして参加したアナトミートレインのコースで得た情報から、2019.11にアップした情報とつながったので、それもふまえて、ここにまとめておきます。

【腸脛靭帯】は筋膜的にどういう作りなのか?

一言で言ってしまうと、大腿筋膜の一部がただ分厚くなったもの!

解剖学の本で見ると、腸脛靭帯だけ縦に綺麗に存在していますが(下の絵)、これは解剖時に縦にメスを入れただけです。

なので、断面図はこんな感じ。

↑左側の横の黒くなってるところが腸脛靭帯。

で、二足歩行で使用して荷重がかかることにより分厚くなっているので、歩き始める時期より前や、車椅子などで脚を使っていなければ、ここの靭帯っぽさはなくなります。我が家の次女2歳も、まだプニプニです。

ちなみに、右の図を見ると内転筋群、ハムストリング群、四頭筋群とそれぞれのグループを分ける筋膜もあるわけですが(この隔てているものを筋間中隔と呼びます)

赤い色で示したように、これもまた、大腿筋膜の一部です。大腿筋膜が解剖でペローンと1枚で剥がれることはなく、かならず筋間中隔につながるため、筋間中隔にメスを入れないことには大腿筋膜をぐるっと1周はがすことはできません。

そして【骨間膜】

こちらもこの大腿筋膜と腸脛靭帯の関係と同じです。これもまた、脛骨と腓骨の間にペロンとついてるわけではなくて、脛骨と腓骨の骨膜の延長です。

どの構造においてもペロンとついてるものってないんだけど笑、骨間膜も同様に。

なので、意識次第では、もちろん、脛骨や腓骨の骨膜から骨間膜へのアプローチも可能です♡

その流れで【足首や手首にある支帯】

ここは解剖学の本では腱をカバーするバンドのように書いてありますが、

これもまた、まわりの筋膜の一部が分厚くなっているだけのものです。その分厚い部分だけを切り取ると解剖の本になる感じです。

なので、支帯がなくなったら腱が飛び出てしまうようなイメージがあったり、私もそう説明したりしてたけど笑、支帯に、もしメスを入れても、腱は飛び出ません。

ロバート・シュライプ先生曰く、腱を包んでる膜そのものが、それぞれでくっつきあってるから、ということもあるようです。

<研究室+メンバーには続きあり>
https://rolfingbyyuki.com/blog/2023/06/21/itb/