腸脛靭帯、骨間膜、支帯などなど、全ての構造に共通していること

2020.9にアシスタントとして参加したアナトミートレインのコースで得た情報から、2019.11にアップした情報とつながったので、それもふまえて、ここにまとめておきます。

【腸脛靭帯】は筋膜的にどういう作りなのか?

一言で言ってしまうと、大腿筋膜の一部がただ分厚くなったもの!

解剖学の本で見ると、腸脛靭帯だけ縦に綺麗に存在していますが(下の絵)、これは解剖時に縦にメスを入れただけです。

なので、断面図はこんな感じ。

↑左側の横の黒くなってるところが腸脛靭帯。

で、二足歩行で使用して荷重がかかることにより分厚くなっているので、歩き始める時期より前や、車椅子などで脚を使っていなければ、ここの靭帯っぽさはなくなります。我が家の次女2歳も、まだプニプニです。

ちなみに、右の図を見ると内転筋群、ハムストリング群、四頭筋群とそれぞれのグループを分ける筋膜もあるわけですが(この隔てているものを筋間中隔と呼びます)

赤い色で示したように、これもまた、大腿筋膜の一部です。大腿筋膜が解剖でペローンと1枚で剥がれることはなく、かならず筋間中隔につながるため、筋間中隔にメスを入れないことには大腿筋膜をぐるっと1周はがすことはできません。

そして【骨間膜】

こちらもこの大腿筋膜と腸脛靭帯の関係と同じです。これもまた、脛骨と腓骨の間にペロンとついてるわけではなくて、脛骨と腓骨の骨膜の延長です。

どの構造においてもペロンとついてるものってないんだけど笑、骨間膜も同様に。

なので、意識次第では、もちろん、脛骨や腓骨の骨膜から骨間膜へのアプローチも可能です♡

その流れで【足首や手首にある支帯】

ここは解剖学の本では腱をカバーするバンドのように書いてありますが、

これもまた、まわりの筋膜の一部が分厚くなっているだけのものです。その分厚い部分だけを切り取ると解剖の本になる感じです。

なので、支帯がなくなったら腱が飛び出てしまうようなイメージがあったり、私もそう説明したりしてたけど笑、支帯に、もしメスを入れても、腱は飛び出ません。

ロバート・シュライプ先生曰く、腱を包んでる膜そのものが、それぞれでくっつきあってるから、ということもあるようです。

<研究室+メンバーには続きあり>
https://rolfingbyyuki.com/blog/2023/06/21/itb/

筋膜はなぜねじれるの?

筋膜はなぜねじれたりするのでしょう?

ロルフィングを通じて学び、実際に自分のからだでセッションを受けて学び、クライアントとのセッションの中で学んできたことをいろいろふまえてみると

やっぱり今のところ、

■ 日常の動き(呼吸、歩行、食事の仕方など)の癖
■ スポーツをする時の動きの癖
■ 怪我や手術後の保護、代替動作

なんてところが原因として挙げられると思います。

筋膜は私たちにとって都合が良いだろうと習慣的な動きに合わせてねじれてくれていたり、

手術や怪我の傷あとを守るために硬くなり、からだ全体のバランスを保つためにまわりの筋膜はねじれていったりする。

すごい仕組みですね!

そして筋膜の持つ、張力と圧力の関係
運動していると、これはものすごく感じます。

例えば、ゴルフのスウィングでは、いかに、でんでん太鼓のように軸を中心にねじれるかということが大切。

それもまさしく、筋膜の張力をうまく使ってこそ、できること。だって、背骨は勝手に動かない!

筋膜のねじれや癒着を改善して、健康な瑞々しい筋膜を保ち、いつまでも気持ちよく身体を使っていきたいですね。

 

余談ですが…

馬の筋肉量では、計算上、あんなに早く走れないとか。なぜあんなに早く走れるかというと…

筋膜の張力を利用しているからなんですよ!

 

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筋膜に動きの癖がつくまで

私がロルファーになった2005年時には予想もしていなかったほど、今では認知度がアップしている「筋膜」。まだまだ謎も多いですが、それゆえ可能性もたくさん含んでいます。

最近で一番取り上げられたことと言えば、こちらのニュース『人体で最大、新しい「器官」を発見?』

「間質」について取り上げられていますが、要は筋膜のことだよね、というのが専門家の認識です。先日読んだ、『医道の日本6月号』でも紹介されていました。(ちなみに、この中でロルファー仲間ほしのあつこさんが寄稿されています。良記事!)

ロルフィングでは、ずっと筋膜に着目してきています。実際に、International Fascia Congress(国際筋膜学会)の創立者はロルファーの二人。そして、アナトミートレインという概念を世に出したトーマス・マイヤースの存在も大きいでしょう。

トムはロルファーの大先輩。そんなトムが来日する際に、アシスタントをさせてもらえる機会を初期の頃(まだまだ私が駆け出しのロルファーの頃)から得ていたのは、幸運中の幸運としか言えません。

さて、そんなトムのセミナーでトムがよく使う説明ですが、どのように筋膜に癖がついていってしまうのかを簡易バージョンで紹介します。


慣れないことをする時、どういうやり方がいいのか、色々試しますよね。そういった仕草の中から使いやすいものを使うようになり、それが習慣になっていきます。そして習慣が継続されると姿勢を生み出していき、それが続くと筋膜を含めた構造に影響が出てくる。

…という流れです。

なので、例えば、

①パソコンの画面が見えにくく、よく見ようと顔を画面に近づける仕草

②顔を近づけたら画面が見やすかったので、それを繰り返す習慣になり、

③いつも顔を前に出して画面を見ながら仕事をするため、パソコンを使っていない時も頭を前に出す姿勢になり、

④その姿勢を続けることで、前に出た頭を支えるために、まわりの筋膜が硬くなったりしながらバランスを取り始める。

こうやって、
繰り替えし行う動きが
筋膜を癖付けていくわけです。

なので、ロルフィングでは、そんな流れも利用しながら、④の構造(筋膜)にアプローチしながら同時に②の習慣になっている動きにもアプローチしていきます。ロルフィングが長期的な変化の持続に繋がる理由はここにもありますね。

姿勢を変えようと思ったら結構大変だった!身体の使い方の習慣を変えるのは一苦労する!なんていう時には、すでに構造に影響が出てきていることが考えられたり、そのとき、身体に何をしていってあげればいいのか考える参考になれば幸いです。

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筋膜の健康に大切なもの

骨が健康でいるためには
重力による圧が必要。

そして、筋膜が健康でいるためには
テンション(張力)が必要。

ストレッチのように、ゆるゆると伸びる感覚
筋膜には必要なんです。

そして動きのない部分は、筋膜が硬くなりがちで、お隣りの筋膜と癒着したり、筋線維と癒着したりします(以前行った解剖実習でもそれが見られました!)。

その状態が長く続くと、ちょっとやそっとのストレッチでは伸びず、
ヨガなどのゆっくりとストレッチを加えるようなストレッチをながーーーーーーーい時期続けなくてはいけません。

そして、動きがなぜそこにないのか、も大切。
怪我で動かしてなかったのか?
使い方の癖なのか?

それに気づけていないと、ストレッチして伸びたとしても、また硬くなりやすい状態であることは変わらないわけです。

そしてそもそも、
“そこに動きがない”ということに気づいていなければ、気づかないままなので、からだにとっては存在しないのと同じ。それでは変わらなくて当然です。

なので、まとめてみると…

・自分のからだを感じてみようとすること
・自分の普段の動きの癖などに気づいてみること
・いろいろな方向に、ゆるやかに力み過ぎることなく張力を加えていくこと

(いろいろな方向にストレッチしてあげるのがベストです)

などが、筋膜の健康には大切

もっとつきつめると、
それはつまり、からだの動きの癖には、自分のボディーイメージやマップも関わっているということで、そこへの意識も大切

ロルフィング®︎は、このように、いろいろなアプローチを同時進行しているわけです。

筋膜システムはとても賢いシステム。

その分、私たちも、私たちのからだが持つ賢いシステムである“感覚・知覚”をフル活用して答えてあげなくてはいけません。

人間に本来備わっているそんな力を再構築することに興味がある方は、一度ロルフィング体験をしてみてください。

 

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